井坪工務店

東日本大震災以降、私たちのなかに様々な意識の変革が起こり始めています。 エネルギーのこと、住まいのこと、家族のこと、そして自分たちのこれからの生き方のこと、など。 人それぞれ感じる部分は異なるかもしれませんが、ひとつ共通して挙げられるキーワードがあります。 それは「人任せにしない」ということ。 私たちの生活を取り巻く住まいやエネルギーや食など、これまでほとんど意識することのなかった、それらがどこでどう作られ、 私たちの日々の暮らしを支えてくれているのか。そうした問題に、これまで以上に関心を持ちたいと考える人も増えたのではないでしょうか。 家に関しても、従来のような「お金を出して建ててもらうモノ」から、「作る段階から積極的に関わっていくモノ」へと、少しずつ変わりつつあります。

家づくりに積極的に関わってみたいと考える方も、なかなか一からすべてを自分の手で、というわけにはいかないでしょう。 安全性や法的な部分も含めて、やはりプロの作り手の技術に頼るのが有効かつ現実的です。そこで、 じわじわと関心が高まっているのが「ハーフ・セルフビルド」という建築スタイル。 基礎や土台、外壁や屋根など、家の主要な骨組みはプロに任せ、内装の一部を自分たちで時間をかけて完成させていく、という手法です。 具体的な例をあげると、内壁に自然素材の珪藻土を塗る、キッチンや浴室まわりにタイルを貼る、壁や建具を好みのカラーで塗装する、 ウッドデッキを拡張する、玄関にモルタルを敷いて土間にする、などなど。 普段からDIYが好き、興味がある、といった方にはぜひとも挑戦してみてほしい、新しい家との付合い方です。

工事費を安く抑えるというメリットもあるかもしれませんが、セルフビルドの魅力はなによりも自分の住む家に対する「愛着」が深まること。 クロスを貼る、ペンキを塗る、デッキを組み立てる……。実際はどれも想像するよりも難しく、仕上がりも完璧とは言えないかもしれません。 それでも、自分の住む家に真正面から向き合い、時間をかけて、自分自身の手で加えたひと手間は、いつまでも記憶に残る宝物になるはずです。 多少寸法がずれてしまっても、ムラがあっても、暮らす上での不都合にはなりません。 それよりも、自分の住まいを人任せにせず、工夫をし、愛情を注いだその時間と経験は、その後の住まい方、 さらには生き方そのものにも影響を与えるに違いありません。 家を建てる、という人生の上での大きな節目を、自らの暮らしや生き方を見つめ直す機会にしてみませんか。